第4章 守りたいもの 前編 (光秀×舞)
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舞が部屋から出て行くと、暫くして九兵衛が入ってきた
「可愛らしい姫様ですね、舞様は」
「お前がそんな事を言うとは珍しいな。あれはなかなかに手がかかる女だぞ?」
くすりと笑みを浮かべ、肩を竦めてみせる
「ですが、光秀様がそのように笑われる姿を見たのはいつぶりでしょうか」
「笑っている?俺がか?」
「はい。舞様の話をされる光秀様は、とても優しい顔で笑ってらっしゃいますよ」
「…………」
意地悪を言って、揶揄って、いつものように笑っていた筈だが…内なる想いを悟られるとは、俺らしくもないな
「舞の笑顔が呑気すぎて、俺も毒されたのかもしれんな」
「はい。太陽みたいに眩しい笑顔でごさまいました」
「………。それで、例の首尾はどうなっている」
「はっ、引き続き捜索中ですが…敵もなかなか尻尾を掴ませてくれませぬ。明日以降は、少し範囲を広げて捜索致します」
「そうか。頼んだぞ、九兵衛」
「はっ、お任せ下さい」
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