第4章 守りたいもの 前編 (光秀×舞)
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舞が部屋から出て行くと、先程までの和やかな雰囲気は一変した
「何かわかったのだな。報告しろ」
「はっ、漸く顕如の根城を突き止めました。兵の数はおよそ1万。かなりの勢いで数を増やしているようです」
「なるほど…それは厄介だな」
「はい。急ぎ対策を打たねば、抵抗勢力は拡大し…被害は甚大になりかねないかと」
「わかった。では俺はこれから安土城へ向かい信長様へ報告する。お前は挙兵の支度を整えておけ」
「はっ、お任せを」
光秀は、話が終わると急いで着替えを済ませ、舞の部屋へ向かった
「舞、いるか?」
「はい!お話はもう、終わったんですか?」
「ああ。俺はこれから急ぎ、安土城へ行かねばならなくなった。だが、お前は何も案ずる事はない。いい子で待っていろ」
「…っ、何かあったんですか?!まだ傷も治ったばかりなのに…っ、どうして…!」
みるみるうちに笑顔が消えて、泣きそうな表情になる舞
光秀は、そんな舞をギュッと抱きしめ、舞の額に触れるだけの口づけを落とした
「っ、光秀さん…!」
「俺を信じて待っていろ。いいな?」
「……っ、はい……」
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