第4章 守りたいもの 前編 (光秀×舞)
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パタパタパタと軽やかに走ってくる足音に気付いた光秀は、くすりと笑みをこぼした
光秀が起き上がり部屋の扉を開くと、キラキラの笑顔を咲かせた舞の姿がそこにある
「光秀さん!!今日からお世話になります!」
「舞、廊下は走るなといつも秀吉に言われているだろう。相変わらず騒騒しいな、お前は」
クスクスと笑みを浮かべながら、舞の頭をぽんぽんと撫でると、舞はプクッと頬を膨らませた
「光秀さんまで、妹扱いしないで下さいっ!」
「おや、それは悪かったな。もう少し女らしくするなら考えてやろう」
「っ、光秀さん…相変わらず意地悪ですねっ!でも、今日から私が光秀さんのお世話係なんですから、ちゃんと私の言う事聞いて下さいね!信長様からも、光秀さんに無理をさせないように言われてるんですから!」
「くくっ、肝に命じておこう」
「っ、とりあえず…家康から軟膏貰ってきてるので薬塗らせて下さい」
舞は着物の袖の中から軟膏を取り出した
光秀は、褥に戻り、肩をはだけさせる
巻かれた包帯の下は皮膚が赤く腫れ、傷口はくっついてはいるものの、くっきりと痕が残っていた
「光秀さん…痛い、ですよね。光秀さんの綺麗な肌にこんな傷…」
「舞、もう痛みはないし傷もそのうち治る。お前は気にしなくていい」
「…………っ」
「それより、早く塗ってくれねば風邪を引いてしまいそうだ。そんなに俺の裸に興味があるのか?」
「な…っ、違います!!」
舞は慌てて軟膏を塗り、新しい包帯を巻いた
舞の真っ赤になった顔を見ながら、光秀はふっと笑顔をこぼし、舞の頬へ手を伸ばした
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