第4章 守りたいもの 前編 (光秀×舞)
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「光秀、さん…?」
「お前と話していると、本当に調子が狂う…」
お前の泣いている顔など見たくない
お前には、いつも笑っていて欲しいのだ。
お前の呑気で真っ直ぐな笑顔が守れれば、こんな怪我など安いもの。
いつも、それ以上のものをお前から貰っているのだからな。
「光秀さん…、私、皆さんに光秀さんの意識が戻った事知らせてきますね。九兵衛さん、凄く心配されてましたから…」
「そうか。皆にも心配かけたようだな。舞はそのまま安土城へ戻れ。家臣に送らせる」
「っ、でも!!」
「暗くなってからでは危ない。この怪我では、次は助けてやれないぞ」
「っ、わ、かりました…。光秀さんにまた迷惑かけちゃいけないから帰ります」
抱き寄せた体を離し、舞の頭をぽんぽんと撫でると、舞は寂しそうな顔で部屋を出ていった
暫くして、九兵衛が慌ただしく駆け込んできた
「光秀様…っ、御無事で…っ!!」
「そう、取り乱すな。それより、舞を安土城へ送り届けろ。まだ、不届きものが城下をうろついているかもしれんからな」
「かしこまりました。すぐに支度致します」
「ああ…頼んだぞ」
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