第1章 不器用な恋 (家康×舞) R18
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「三成、その手を離せ。今すぐだ」
「「家康(様)?!?!」」
突然現れた事に、驚きの声を上げた二人だったが、家康はそんな事よりも、一刻も早く舞から三成を引き離したい気持ちでいっぱいだった。
舞のあんな声を、これ以上三成にきかせたくなかった。
(あんたのそんな無防備な顔、俺以外の男にはみせないで…)
黒い感情が心を支配していく。
「舞の怪我は俺が見る」
「ですが…」
「お前じゃ役不足。跡でも残ったらどうするつもり?」
「それは…」
なかなか引き下がらない三成に、苛立ちを覚えながら、舞の手首をグイッと引き寄せた。
「っ、家康……?!」
「じゃあ、俺は急ぐから。後片付けは任せた」
それだけ言い残して、書庫から舞を連れ出した。
少し熱を持ったように温かい舞の手首を引き、無言で歩き続ける。
「っ、家康!!私なら大丈夫だよっ!」
戸惑うような、困ったような…そんな舞の声に一瞬歩みを止め、振り返る。
「許さない。そんな怪我して。ちゃんと診せて」
「でも、血も止まったし、これくらい平気…」
「平気じゃない!!!!」
「家康??!!」
自分でもビックリするくらい大きな声がでて、舞は大きな瞳をさらに大きく見開いた。
平気??平気なわけがない。
三成に指を舐められて甘い声を上げたのも。
その頬を赤く染めたのも。
未だに冷めない、この手首の熱も。
全部、三成が与えたものだと考えただけで、胸が灼けるように痛い。
俺だけのものにしたいと、濁った感情に支配される。
そんな感情になんとか蓋をして、舞の手首をゆっくりと離した。
「家康…?」
「そこ、曲がったら俺の部屋だから、ちゃんとついてきて。これ以上、あんたの言い訳はきかないから」
ピシャリと言い放つと、流石に観念したのか、舞はこくりと頷いた。
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