第20章 甘い悪戯 (光秀×舞) R18 BDリクエスト作品
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何とか安土城まで帰り着いた舞は、部屋に入るなり、ペタンと床に崩れ落ちた
(光秀さんは、私を揶揄って楽しんでるの…?)
さっきまで触れられていた頬が、再び熱を帯びる
(こんな中途半端な関係のままじゃ嫌だ…って、そう思うのに…もっと触れられたい、触れて欲しい…って心のどこかで願ってる自分がいる…)
光秀に渡された小瓶の中の桃色の液体を眺めながら、舞はゴクリと唾を飲み込んだ
『お前がどんな風に俺を誘惑してくれるのか、興味が湧いた』
そう言って渡された時の光秀の表情からは、感情を全く読み取る事は出来なかった
(光秀さんは一体、どんな気持ちでこれを渡したんだろう…)
『そんな仲になればいいのか…?』
そう言われた言葉を思い出し、光秀の本心がどこにあるのか、余計にわからなくなる
ただ、揶揄われただけなのかもしれない
それでも…ずっと気づかない振りをしてきた想いを、これ以上隠しておく事も出来そうになかった
(これ以上考えてたって、答えなんて見つかる筈ないよね。なら…前に進むしかない)
舞は、思い切って瓶の蓋を開けると、瞳を閉じて、桃色の液体をゴクリと一気に飲み干した
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「あれ……?何も、起きないの……?」
すぐに何かしらの変化が訪れると思っていた舞は、肩透かしをくらい、ふぅ…と溜息をついた
(これって、ただの縁起物…だったんだ)
神社で売られているお守りのようなものだったのだと知り、気構えていた自分が急に恥ずかしくなった
(やっぱり揶揄われただけ、なんだ…)
もしかしたら光秀さんも…なんて、そんな事あるわけないのにーーーーー
「明日は光秀さんの誕生日、祝うって決めたんだし…今日はもう寝よう!明日、光秀さんに会ったら、揶揄った事、怒らなく…ちゃ……う…ん………」
寝ようと決めた途端、瞼が急に重たくなり、重力に逆らえなくなった瞳はそのままゆっくりと閉じていく
這うようにして、何とか褥まで辿り着いた舞は、そのままスッと意識を手放した
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