第3章 すれ違う想い (三成×舞) R18
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「ここ…ですね。光秀様が仰っていた茶屋は」
中は少し薄暗く、席は区切られていてあまり様子がわからない状態だ
本当に、ここに舞様がいるのだろうか?
席を探すふりをして、辺りを伺う
すると、奥から聞き慣れた声が聞こえてきた
(間違いない…。舞様の声だ)
三成は、舞のいる席の隣の席に腰を下ろした
壁で隔てられていて様子は伺えないが、話し声だけは聞こえてくる
「来てくれて有難う。こんな場所でしか会えなくてすまない。元気そうだね」
「気にしないで!いつでも会える訳じゃないし…時々こうして会いに来てくれるだけで充分だから」
「有難う、舞さん」
会話の相手は、その低い声音から政宗の言っていた通り、男なのだと確信した
しかも舞は、その男との逢瀬を楽しみにしていたようだ
舞の楽しそうな笑い声に、胸の奥がザワザワと嫌な音を立ててゆく
「あっ、これ!暫く会えないと思って…作ってみたの。良かったら貰ってくれないかな?」
「っ、これは…!こんなに立派なもの、俺が貰っても大丈夫?」
「勿論だよ!その為に作ったんだから。それで、その……っ」
「ああ、それなら安心して。明日には用意出来ると思う」
「本当?!嬉しい…っ、じゃあ明日会えるかな?」
「わかった。明日、ここでまた落ち合おう」
二人は、明日の逢瀬の約束を交わし、店を出て行った
三成は何も考えられず、ただ呆然とその場に座ったまま、動く事が出来なかった
舞が、相手の男に何か贈り物を渡していた
しかも、手作りの何かを。
自分以外の誰かが、舞の特別になるなど…絶対に許せない
「何か策を考えなくては……」
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