第18章 全てを乗り越えて (光秀×舞) R18 リクエスト作品
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中では、短刀を握りしめた姫が切っ先を舞の方へ向けている所だった
「何をしている」
怒りを宿した冷たい眼差しで問うと、相手の顔が憎悪で歪む
「この女は、私から家康様を奪っただけでは飽き足らず、父まで陥れた…!!こんな品の無い女に全てを奪われたままでは終われない…っ!」
声を荒げ舞を罵倒する姿に溜息をつくと、光秀は冷たい声で言い放った
「お前の父は織田を裏切り、秘密裏に武器を買い集め、上杉に横流しする算段で家康との縁談を進めていた。陥れていたのはお前の父だ」
「そんな筈…っ!」
震えながら短刀を握りしめる姫との距離を少しずつ詰めながら、更に続ける
「恨むなら、お前の気持ちをも利用していた父を恨め。まぁ…お前では役不足だったようだがな」
くすりと笑みを浮かべながらそう言うと、姫は怒りの矛先を光秀へ向けた
「本気で誰かを愛した事がないから、そんな侮蔑の言葉を言えるのだわ。貴方も可哀想な人ね」
キッと睨みながら言い返してきた姫に、光秀は再び笑みを浮かべた
「言いたい事はそれだけか?」
「っ、明智様は信長様の気に入りの姫の機嫌を取りに来たのでしょう?明智様は策略家で名を馳せていらっしゃいますものね」
光秀は、明らかな嫌味の言葉に動じることなく間合いを詰めると、姫から素早く短刀を取り上げた
「っ、何を…!」
「なるべく穏便に済ませたかったが…残念ながら時間切れだ。今すぐに去らねば、秀吉が来るぞ?俺はそれでも構わないがな」
「っ、そんな脅しには……っ」
明らかに動揺している姫を追い詰めるように、部屋の外から足音が聞こえてくる
「これ以上、舞に近寄らないと誓え。そうすれば、今回の件は見逃してやる」
有無を言わせぬ物言いにギリっと奥歯を噛み締めながら、慌ただしく部屋を出ていく姫と入れ違いに秀吉が部屋に入ってくると、秀吉はすぐ眉間に皺を寄せた
「今、出ていったのは例の大名の…」
「ああ。お前の世話焼き体質も偶には役に立つな。だがもう解決したから、帰っていいぞ」
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