第18章 全てを乗り越えて (光秀×舞) R18 リクエスト作品
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「へぇ、お前にそこまで言わせるなんてな。お前にとって余程大事なものになったらしいな、舞は」
「は……?」
くつくつと笑いだす政宗とは対照的に、言葉を失い、黙り込む秀吉
状況を把握出来ずに首を傾げる三成の隣で、家康は重い溜息をもらした
(けじめをつける…か。この場でそんな事を言うなんて、並大抵の覚悟じゃない事は嫌でもわかる。あの人のあんな顔…初めて見た)
「いい加減、手離したらどうですか?舞を幸せに出来るのは光秀さんだけですよ。悔しいですけど…」
(あんたの覚悟、こんな風に見せられたら…認めざるをえないじゃないですか)
「潔く負けを認めます。俺じゃ…あんたには敵わない」
真剣な眼差しで光秀を見つめながら素直な思いを伝えると、光秀は少し目を見開いた後、フッと笑みを浮かべた
その笑顔を見つめていた信長は、静かに目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた
「光秀、貴様にはこれからも俺の左腕として働いてもらわねばならん。その為にも…早々に身を固め、今以上に忠義を尽くせ」
「っ、お館様…。はっ、有難く…拝領致します」
「では、貴様らの祝言は5日後に行う。全て俺が取り仕切る。貴様はそれまで、舞の身の回りの整理を手伝ってやるがいい」
「っ、5日後?!いくらなんでも早過ぎます!!」
ずっと成り行きを見守っていた秀吉が急展開に焦りの色を浮かべながら声をあげると、光秀はくすりと笑みを浮かべて秀吉を見つめた
「信長様の命だ。俺の為に、せいぜい張り切って働けよ?」
「っ、誰がお前の為にだ!!舞を泣かせたら承知しないからな!!」
秀吉が眉間に皺を寄せ声を荒げると、光秀はいつもの笑みを消し、真面目な顔で答えた
「決まりきった事を聞くな。お前に言われなくても、わかっている」
「なっ……、光秀、お前……」
「お館様、早速支度に取り掛かりますので、御前を失礼致します」
光秀は信長へ深々と頭を下げると、静かに広間を出て行った
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