第17章 今日という特別な日に (光秀×舞) R18 誕生日SS
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その後も、みんなが光秀の元にやって来てお祝いの言葉を述べたり、一緒にお酒を飲んだりして、気がつけばすっかり夜になっていた
みんなでお祝い出来たのが凄く嬉しいと思う反面、大切な人の大切な日、その日の終わりくらいは二人で過ごしたいという思いが少しずつ募ってくる
そんな舞の気持ちを見透かす様に、光秀は舞の手をそっと掴み、立ち上がった
「光秀さん……?」
「そう物欲しそうな顔をされたら、我慢出来なくなるだろう…?」
「な、そんな事……っ!」
フッと笑みをこぼし、繋いだ手をギュッと握りしめてくる
その温かさから、光秀も同じ気持ちでいてくれるのが伝わり、胸の奥がじわりと熱くなった
「信長様、今宵は私の為に宴を開いて下さり有難う御座います。長旅で少々疲れておりますので、明日は1日暇をもらいたいのですが、よろしいでしょうか」
淡々と言ってのける光秀の言葉に思わず顔を赤らめると、信長はにやりと笑みを浮かべた
「構わん。舞、光秀を労ってやるがいい」
「っ、はい……」
「有難うございます。では、御前を失礼致します」
光秀は恭しく頭を下げ、広間を後にする
信長の視線に恥ずかしさを感じながら、続いて宴の席を抜けた舞は、そのまま光秀の御殿へ向かい歩いていた
騒がしかった広間とは違い、辺りは真っ暗で静かだ
虫の鳴き声だけが不規則にチリチリと響いている
そして、連れ出した光秀本人は、広間を出たきり一言も話さないまま…少し足早に歩き続けていた
「あの……光秀さん……?」
「・・・・・」
恐る恐る声をかけてみたものの、話すつもりがないのか振り返る事もなく、時間だけが過ぎていく
そうして、一言も話さないまま御殿へと辿り着いた舞は、光秀の部屋へ足を踏み入れた瞬間、パタンと戸が閉められ、ギュッと強く抱きすくめられた
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