第17章 今日という特別な日に (光秀×舞) R18 誕生日SS
.
「はっ、有難うございます」
「じゃあ、乾杯しましょうっ!」
舞に渡された盃を受け取ると、全員が同じ様に盃を持ち上げた
「光秀さんのお誕生日を祝って…乾杯っ!!」
舞が盃を光秀の盃にコツンと当てると、隣に座っていた家康も盃を差し出してコツンと当ててきた
「おめでとうございます、光秀さん」
「ああ。まさかこの歳でこんな風に誕生日を祝われるとはな。予想してなかった」
「まぁ、そうでしょうね。舞から聞いた時は、みんな驚いてましたから」
「で、でもっ、家康だって飾り付け手伝ってくれたじゃないっ」
「それは…あんたが勝手に任命したからでしょ。まぁ…楽しくなくもなかったけど……」
ほんのり頬を赤らめる家康と、慌てて取り繕う舞の姿を交互に見つめながら、自分が知らない時間を共有していた二人に対して複雑な感情を抱いていた
盃に入っている酒をグッと一気に流し込み、ゴクリと飲み干す
そこへ徳利を抱えた信長がやってきて、光秀の盃を再び満たした
「舞が所望した南蛮の酒だ」
「見た目は普通の酒、ですね」
「だが、味は全く違う。実に不思議だ」
「っ、これは……」
口の中に広がる甘い香りに驚くと、それを見ていた舞がふわりと笑みを浮かべた
「そのお酒は、葡萄から作られてるんですよ」
「成る程…それでこんなに甘いのだな」
「信長様、私も戴いていいですか?」
「ああ。後は貴様らで楽しめ」
徳利を渡された舞は、嬉しそうに盃へ酒を注ぎ、ゴクンと飲み干した
「光秀さん、お誕生日なんですから、どんどん飲んで下さいね!」
舞が、空になっていた光秀の盃へトクトクと酒を注ぐ
ただそれだけの事がやけに特別な事に感じられて、光秀は思わず笑みをこぼした
.