第17章 今日という特別な日に (光秀×舞) R18 誕生日SS
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(あれは……秀吉か……?)
護衛の任務を終え帰城すると、城の前では秀吉が待ち構えていた
(舞に出迎えて欲しかったんだがな…)
「秀吉、わざわざ出迎えか?珍しい事もあるものだな」
「ああ、不本意だがな。舞にお前が戻ったら広間へ連れてくるように言われてる」
「舞にか?」
「ああ。お館様もお待ちだ。いくぞ!」
秀吉の後について広間へ続く廊下を歩いていると、忙しく料理を運ぶ女中達とすれ違い、首をかしげる
「何か催しでもあるのか?城の中が随分慌ただしいな」
「まぁ、そうだな。ほら、着いたからお前が先に中へ入れ」
促されて戸を開けると、全員が一斉に光秀の方へ向き直り、その場で手拍子が始まった
「はっぴばーすでー、光秀さん〜♪」
「・・・・」
聴いたことのない歌を、みんなが自分に向けて歌っている
何が起こっているのか分からず、光秀は言葉を失っていた
やがて歌が終わり、舞が駆け寄ってきて包みを手渡される
「舞、これは……?」
「お誕生日、おめでとうございます!光秀さん!これは私から光秀さんへの贈り物です」
「誕生日……」
「はいっ!みんな、光秀さんの誕生日をお祝いしたくて集まってくれたんです。こっちに来て座って下さい」
愛しい人の手にひかれ、みんなが集まる中心へと誘われる
城の中が慌ただしかったのも、秀吉が出迎えてくれたのも自分の誕生日を祝うためだったと知り、柄にもなく胸が熱くなった
「信長様、ただ今戻りました。この度はこのような宴を開いて下さり有難うございます」
「つまらん口上はいらん。貴様を祝いたいという
舞の気持ちに全員が賛同した。貴様は黙って祝われるがよい。酒も用意しておいた」
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