第13章 激情に囚われて(謙信×舞) R18
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「なっ、これはどういう事ですかな?!明智殿!!」
男は額に青筋を立て怒りを滲ませると、光秀を睨み付けた
「上杉殿は国境を越えず、こちら側には攻めて来ていない。にも関わらず、貴方は国境を越え上杉軍を攻撃した。貴方の勝手な行動は信長様の名を地に落とす行為であり、流石の俺にも容認出来ん」
「なん…だと…!?」
「これより明智軍は、上杉軍と一時的な同盟を結び、信長様の名を貶めんとする逆賊を打つ」
合図と共に打ち込まれる銃弾に、椎名軍は戦意を失い、一気に総崩れになる
守ってくれる筈の家臣も逃げ出し、男はあっという間に上杉軍によって拘束された
謙信の瞳が男を捉え、刀にグッと手をかける
それをジッと見つめながら、男はガタガタと震えていた
「ど、どうかお赦しを!上杉殿!」
「よくもそのような口を聞けたものだな。舞を攫い、傷つけた事…その命で償うがいい」
刀を抜き男へ突きつけると、それを見ていた舞が馬を降りて謙信の元へ走ってきた
「謙信様!駄目…っ、殺さないで…!!」
「っ、舞……!」
舞は謙信の体を抱きしめると、ギュッとその手に力を込めた
「私の好きな謙信様は、心の優しい人です。償う方法は他にもある筈です。私は…こうやってまた謙信様の傍にいます。だから…っ」
「っ、お前という女は…。佐助、この男を牢に入れておけ」
「わかりました、謙信様」
佐助が男を連れ後方へ下がると、入れ替わるように光秀が謙信の元へとやってきた
「謙信殿、こちらには上杉と戦う意思は今のところない。このまま兵を引き上げるなら、こちらも引き上げる」
「とんだ狐だな、貴様。舞に免じて今回は引いてやるが、次に会う時は覚悟しておけ」
「ほう、それは楽しみだ。その時は舞を俺の物にするとしよう」
「み、光秀さん…っ!!」
「なかなか悪くない逢瀬だった。次に会う時まで、せいぜい息災でいろ」
光秀は舞を見て優しく微笑んだ後、踵を返しその場から軍を引き上げていった
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