第13章 激情に囚われて(謙信×舞) R18
.
一方、謙信率いる上杉軍は国境沿いに陣を敷いていた
「謙信様、椎名軍と明智軍がもうすぐ到着しそうです」
「そうか。時間通りだな…」
佐助から近況報告を受けながら、冷たい眼差しで間も無く現れるであろう場所を見据える
「舞さんの無事も確認しました。今は明智光秀の馬に乗せられてこちらへ向かっています」
「っ、何だと…っ。舞を馬に乗せるなど…!」
(舞に触れるなど…許さん…!)
「落ち着いて下さい!謙信様!!こちらから攻めれば舞さんが危険です!」
佐助の言葉に、ギリ…と歯を噛み締め、今にも駆け出したい衝動を抑え込む
握りしめた掌からは血が滲んでいた
やがて現れた椎名軍は、上杉軍に向かって口上を述べ始める
それを聞きながら、謙信は怒りを露わにした
「義がないのは貴様の方だろう。復讐の為に舞を攫い、利用したのだからな」
「ふん、同盟を一方的に反故にし裏切った代償をたっぷりと味わうがいい。織田軍という後盾を得た今、上杉など敵ではないわ!」
男は吐き捨てるように言い放ち、軍を率いて先陣を切った
国境を越え、上杉軍を圧倒していく
後ろでは明智軍の鉄砲隊が構えていた
劣勢を強いられ、じわじわと後退する上杉軍を追い、意気揚々と軍を押し上げていく
「はははっ、軍神が聞いて呆れるわ!何と容易い…!これならば信長などおらずとも勝てる…!」
男は軍をどんどん押し上げ、完全に上杉軍の領地に入り込んだ、その瞬間
防戦に徹していた謙信は、単騎で男の元へと突っ込んで行った
周りの兵を薙ぎ倒し、圧倒的な力でねじ伏せる
「な、何をしている!相手は一人だ!さっさと片付けんか!!」
男は家臣を盾にして後ろへ下がろうとしたが、後ろでは明智軍が男の軍を取り囲み銃を構えていた
.