第13章 激情に囚われて(謙信×舞) R18
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もう少しで夜が明ける、まさにその頃。
バタバタと大きな足音を鳴らして男が押し入ってきた
「椎名殿、そんなに慌ててどうされました?」
光秀はゆっくりと身体を起こすと、真っ青な顔をした男を見て溜息をつく
「あ、明智殿!上杉軍がこちらへ向かっていると知らせが入りました。守備は大丈夫なんでしょうな?!」
「ほう、上杉殿が本当に挙兵されるとは…」
「ど、どうされるのですか?!こちらには僅かな兵と明智殿の兵のみ。相手はあの軍神ですぞ!流石に武が悪いのでは…っ」
「確かにそうですね。ならば…こちらから打って出ましょう。信長様には既に出陣要請をしております。時期に来られるでしょう」
「そうか!ならばすぐに支度をする。待っておれ…上杉め…!!」
先程まで青い顔をしていた男は、信長の名前を出した途端に上機嫌になり、足早に部屋を出ていった
その後姿を見ながら、再び溜息をつく
そして、隣で横になっている舞に声をかけた
「起きているのだろう?直ぐにここを立つぞ。支度をしろ」
「光秀さん…。戦になるんですか…?どうしても、謙信様と信長様や光秀さんが戦わなくちゃいけないんですか…っ?」
今にも泣き出しそうな顔をする舞の頭を撫で、優しく微笑む
「お前は俺を信じていろ。それだけでいい」
「光秀さん…」
「さぁ、早く着替えて行くぞ」
光秀は、舞の着替えが済むのを待ってから、急いで部屋を出た
外へ出ると、出陣の支度は既に整っていて、光秀の馬も用意されている
光秀は馬へ跨ると、舞を引っ張り上げた
すると、男は下卑た笑みを浮かべ舞の首元を見やる
「明智殿に相当可愛がって貰ったようだな。所詮、女など情欲には敵わんのだ。お前は寵姫というより傾国の姫だな。クク…っ」
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