第13章 激情に囚われて(謙信×舞) R18
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一方春日山では、慌ただしく戦の準備が整えられていた
「所在はまだ掴めんのか?!」
苛々した口調で家臣を問い詰める謙信を佐助が宥める
「謙信様、落ち着いてください!今、信玄様が探して下さってます!」
「佐助…。舞は俺の命そのものなのだ。舞に何かあれば、俺はあの男を殺した後、すぐに舞を追う。あの女は死しても永遠に俺のものなのだからな…」
闇を抱えた瞳は危うく、次第に光を失っていく謙信の姿に佐助も焦りを感じ始めていた頃
信玄が漸く戻ってきた
謙信は待ちきれずに自ら駆け寄ると眉をつり上げる
「報告しろ!あの男は何処だ…!」
「椎名は、織田の統治下にある小国へ逃げたようだ。織田軍に取り入り、後盾を得て家の再興を図るつもりだろうな。こちらが織田の統治下にある国へ簡単に攻撃出来ないのも計算しての行動だろう。抜かりはないという所か」
報告を聞きながら、謙信の瞳はどんどん怒りに染まっていき、言い終わるのと同時に刀を抜いた
「織田の統治下だろうが関係ない!あの男を八裂きにして、舞をこの手に取り戻す…!」
「落ち着け、謙信!話はまだ終わってない」
「なんだと…?まだ何かあるのか!?」
内容によっては斬り捨てると言わんばかりの殺気を放ち信玄を睨み付けると、信玄は懐から書簡を取り出した
「三つ者の一人が受け取った書簡だ」
「一体誰から……っ、何、だと…!?」
「相手も舞に手を出した事が赦せないらしいな」
「ふん、あの男と馴れ合うつもりはない!だが…舞の為、今回ばかりは言う通りに動いてやる。すぐにここを出立する!ついて来い、佐助!」
謙信は書簡を破り捨てると、精鋭部隊を引き連れ春日山城を急いで出立した
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