第13章 激情に囚われて(謙信×舞) R18
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焦りを感じながら男を睨み付けると、男は舞の腕を掴み部屋から引っ張り出した
「寵姫とはお前の為にあるような言葉だな。お前の名をチラつかせると、すぐに接触してきた男がいる。新たな後盾を得られれば、上杉を滅ぼす事も夢ではない。せいぜい役に立ってもらおうか」
下卑た笑みを浮かべ舞の腕を引きずりながら、別の部屋に連れ込むと、荒々しく腕を離した
そのまま床に体を投げ出され、尻餅をつく
「さて、所望された女をここへ連れて来ましたが…これでよろしいですかな?」
先程までとは違う声音に、ぞくりと背筋が凍りついた
目の前に座っている男は、布を被り様子を伺う事が出来ない
緊張感で額に汗がじわりと滲む
が、それは直ぐに衝撃に変わった
被っていた布を取った男は、舞がよく見知った人物だったからだ
まっすぐに舞の瞳を捉え、怪しげに光る
「確かに本物のようだな。まさか椎名殿がここまで用意されているとは知らず、先程は失礼な事を申し上げました」
「いえいえ、信じられぬのもごもっとも。ですが…こうやって謙信の寵姫も手に入れた事です。私に力を貸して下さいますかな?明智殿」
「ふっ、すぐには承服致しかねるが…。そうだな、その謙信の寵姫とやらを一晩私に貸して下さるのなら考えなくもない」
光秀の瞳が舞を見つめ、唇がゆるやかに弧を描くと、椎名はにやりと笑みを浮かべた
「まさか明智殿がこの女を所望されるとは…。いいでしょう。明日の朝まで、存分にお楽しみ下さい」
「ならば交渉成立だな。奥の部屋を使わせてもらう」
舞の腕を引きずり奥の部屋へと消えていく光秀の背中を見つめながら、男は口角を吊り上げた
「ふっ、明智殿も所詮は男。容易いものだ。上杉の苦痛に歪む顔が目に浮かぶ」
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