第12章 貴方という存在 (信長×舞) R18 アンケ2位祝SS
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それから暫く気を失っていた舞は、優しく撫でる掌の温もりによってゆっくりと意識を取り戻した
目の前には、優しい表情で見つめる深紅の瞳があり、先程の情事の記憶が走馬灯のように蘇る
あまりの恥ずかしさに頬を染め俯くと、信長は舞の身体を優しく抱きしめた
「の、信長様……っ、あ、あの……っ」
「漸く目覚めたか。随分と腑抜けた寝顔だったな」
揶揄いながらも、向けられた眼差しはどこまでも優しく舞を包み込む
「ずっと見てたんですか…っ?!信じられない…っ」
舞は頬を膨らませて抗議した後、ふふっと声を上げて笑った
「もう、信長様には敵いません」
「くくっ、恥じらう姿も悪くはないが、やはり貴様は笑っている顔が一番だな。これからもずっと、貴様は俺の隣で笑っていろ」
「信長様………っ」
優しく告げられた言葉は舞の心にじわりと響き、胸の中を甘く満たしていく
ただ傍にいられるだけでいいなんて思っていたのが遠い過去のように、寂しかった想いや行き場のない想いを受け止めて貰える幸せを噛みしめながら、舞は信長の瞳を見つめていた
すると、信長は急に真面目な顔で舞の顔を見つめ返し、ゆっくりと口を開いた
「舞、貴様が依頼を受けた衣装だが、いつ仕上がる」
「そうですね…。一月くらいあれば仕上がると思います。凄く素敵な生地で、今から楽しみで仕方ないんです。仕上がったら信長様も是非見て下さいね!」
嬉しそうに話す舞の笑顔を見て、信長はにやりと口角を吊り上げ衝撃の一言を言い放つ
「貴様の婚礼衣装を、俺ではなく他の男に見せるつもりか?とんだ悪女だな、貴様は」
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