第12章 貴方という存在 (信長×舞) R18 アンケ2位祝SS
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目の前に置かれた茶菓子を見るなり、舞は感嘆の声を上げた
「もしかして、水羊羹ですか?!私、大好きなんです…!!」
嬉しそうにお皿を手に取り口に運ぶと、口の中でサラリと溶けて甘さが口一杯に広がり思わず頬が緩む
「美味しい……!!」
「それは良かった。ではそちらの生地を包んで参りましょう。舞様は召し上がってて下さいませ」
「有難うございます」
舞の横に置かれている反物を手に奥へ下がっていく店主を見つめながら、舞はさっきの言葉を思い出していた
『信長様に良くお似合いになると思いますよ』
(私、わかりやすいのかな…。何だか恥ずかしい…)
最初は凄く怖くて、自分勝手で我儘で、何でこんな人がみんなから慕われてるのか理解出来なかった
本当に色んな事があって、その度にぶつかって…信長様の気持ちがわからないって思う事も沢山あったけど、今は…信長様だからこそ、みんなに慕われてるんだってわかる
私がこの世界に残ると決めた時も、信長様は何も言わずにずっと安土城へ住まわせてくれている
私の中にある信長様への想いは、この先もきっと伝える事はないんだと思う
けど、傍にいて支えたいと思うし、出来る事はしてあげたいって思う
(信長様、喜んでくれるかな…?)
舞が作った衣装を身に纏う姿を思い浮かべ、高鳴る鼓動を感じながら、舞は残っているお茶を一気に飲み干した
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