第12章 貴方という存在 (信長×舞) R18 アンケ2位祝SS
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その頃舞は、城下の反物屋へ向かい一人歩いていた
安土城から反物屋までは大通りを真っ直ぐの道のりで、露店が並ぶ中をゆっくりと通り過ぎていく
すると、城下の見回りに出ていた秀吉に声をかけられ、舞は歩みを止めた。
「舞?どうしたんだ、こんな所で」
「秀吉さんこそ!今日は城下の見回り?」
目を丸くして聞いてくる秀吉に依頼の話を説明すると、秀吉は少し垂れた目尻を更に下げて微笑む
「そうか。なら、俺が店まで送り届けてやる」
「えっ?大丈夫だよ…!ここからすぐだし…」
仕事の邪魔をしたくはないし、やんわりと断りを入れると、すぐに荷物を取り上げられた
「遠慮するな。すぐそこまでだろ?」
(秀吉さん、相変わらず過保護だな)
世話焼き体質の秀吉に観念すると、舞はふふっと笑みを浮かべた
「じゃあ、お願いします…」
「おう。じゃあ、行くか」
舞は秀吉の隣を歩きながら整った横顔を見つめていた
(これだけ格好いいのに、優しいんだからモテるのも当然だよね。秀吉さんを好きになる人は大変そうだな…)
苦笑いを浮かべ納得していると、秀吉が不思議そうな顔で見つめ返してきた
「さっきからどうしたんだ?俺の顔になんかついてるか?」
「っ、ううん!違うのっ。秀吉さんは優しいなって思ってただけ!」
慌てて誤魔化しながら歩いているうちに目的の反物屋へ辿り着いた舞は、秀吉に御礼を言って別れた
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