第12章 貴方という存在 (信長×舞) R18 アンケ2位祝SS
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時々、思う事がある
信長様の頭の中って、どうなってるんだろうと。
常に三歩先くらいを歩いていて、私なんかでは想像も出来ないような事態も予め予測していたりして、毎日が驚きの連続だ
そしてその鬼才ぶりは、今日もまた舞を驚かせるのだった
時は遡る事、数時間前。
舞は針仕事の依頼を受け、城下へ向かおうとしていた
「貴様、何をそんなに嬉しそうに歩いている」
「の、信長様!?」
軽やかな足取りで安土城の廊下を歩いていた舞は、突然声をかけられ驚いたものの、その後すぐに笑顔を覗かせた
「はい!今日は針仕事の依頼が来たので、これから城下へ行く所なんです!それが凄く嬉しくて!」
「ほう、なかなか頑張っているようだな。行先はいつもの反物屋か?」
「はい!そうですけど…どうかしたんですか?」
信長は舞の返事を聞いた後、少し思案すると、舞の手を掴み天主へと向かった
「あ、あのっ、信長様??」
「貴様に仕事を与えてやる。少しだけ待っていろ」
天主へ戻るとすぐに文机に向かった信長は、筆を持ち何やら文を書き始めた
(要は、ついでにお遣いを頼むって事だよね…)
城下に行くついでだし…と、そんなに気にも止めずに信長をじっと見つめていると、書き終えた文を信長に手渡された
「着いたら、これを反物屋の主人に渡せ」
「反物屋のご主人宛だったんですね。わかりました。着いたらちゃんと渡しておきますね!」
舞は笑顔で文を受け取ると、丁寧にしまい込んだ
「じゃあ、行ってきます!」
天主を出て行った舞が安土城の門を出るまで見守っていた信長は、フッと笑みを浮かべる
「貴様の土産話が今から楽しみだ。さて、どうなるか…」
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