第2章 優しい嘘に御用心? (謙信×舞) R18
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馬を走らせ、春日山城へ戻ったのは日が完全に落ちた後だった。
馬を家臣に預け、舞の居場所を確認すると、やはり舞は床に伏せていると言う。
謙信は、報せを送らなかった家臣を咎め、喉元に刀を突きつけた。
「舞の大事は、如何なる場合でもすぐに知らせよ!何よりも最優先事項だと言う事を肝に銘じておけ。良いな!?違えれば次はないぞ…」
「は、ははっ!!申し訳ございません…!!」
顔面蒼白の家臣に向けていた刀を下ろし、謙信は足早に舞のいる部屋へと向かった。
舞の部屋の前には数名の女中が控えており、舞の容体が良くない状況である事はすぐに推察できた。
心臓がドクンドクンと、嫌な音を立てる。
謙信はいてもたっても居られず、部屋の前へ走り寄った。
それに気付いた女中が、驚き目を見開いた。
構わず、問いただす。
「舞はどうなのだ?!無事なのであろうな?!」
「先程、漸く眠られましたので、お静かに願います!舞様なら、大事ないですからご安心くださいませ!!」
「この目で確かめるまでは信じぬ!そこを退け!」
「謙信様…!!!」
抗議の声を上げる女中に構わず、部屋に入り、舞の傍へ駆け寄った。
舞の傍にいる女中の手から手拭いを奪い、汗を拭ってやる。
戸惑っている女中を一瞥し、部屋から出るように言った。
「これの面倒は今から俺が見る。お前らは下がっていろ。俺がいいと言うまで、近づくことは許さん」
「かしこまりました……」
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