第11章 抗えない運命 (家康×舞) R18 アンケ1位祝SS
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その頃家康は自室で一人、薬を作っていた
けれど、全く集中出来ずに溜息をつく
別れ際に、振り返りながら寂しそうな目で見つめる舞の姿が頭に焼き付いて離れない
その手を掴んで、引き離したい衝動を抑えるのがやっとだった自分に嫌気がさす
(何なんだよ…本当に)
みんなの舞でいる内はまだ良かった
けれど、誰かのものになる…そう思った瞬間、我慢出来なくなった
あと少し秀吉が来るのが遅ければ、舞に何をしていたかわからない
それだけ、舞が大切な存在になっていたのだと実感する
(ねぇ、早く帰って来なよ。あんたに、早く会いたい…)
家康は部屋を出ると、高欄から外を眺めた
すると、二人がこちらに向かって歩いて来ているのがわかり、もうすぐ帰って来るのだと思うとホッとする
けれど、二人の手が繋がれているのが目に入り、ちくりと胸が痛んだ
(出かける時も繋いでたな…)
凄く楽しそうに話している二人を見て、次第に不安が広がっていく
家康はギュッと唇を噛み締めると、再び自室へと戻っていった
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