第11章 抗えない運命 (家康×舞) R18 アンケ1位祝SS
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そして、翌日。
舞は朝餉を終え、自室で仕度を整えていた
(秀吉さんと出かけるなら、ちょっとは合わせた方がいいよね…)
秀吉さんと行くならこっちの着物にしとこうかな…
安土一のモテ男だけに、色々と気になってしまう
「よし、これでいいかな」
翡翠色の着物を身に纏い、朱色の帯を締め部屋を出ると、ちょうど朝餉を終えて家康が広間から出てきた所だった
「おはよう、家康」
にっこり笑って家康の目を見つめると、家康は舞の姿を見るなり眉間に皺を寄せ溜息をついた
(あんたが俺を見るだけで何でこんなに心を乱されるんだ。一々気にするなんて馬鹿馬鹿しい…)
「今から、どこか出かけるの?」
「う、うん。今日はお休みで、秀吉さんが息抜きに行きたいって言うから今から城下へ行くの」
舞の言葉を聞き、心臓が嫌な音を立て騒ぎ出す
舞が身に纏っている着物も、まるで秀吉のものだと主張されているようで家康の心を掻き乱した
(別に、あんたが誰と過ごそうが俺には関係ない。それなのに、あんたが誰かの隣で笑うのが許せない…)
「ふぅん。それでそんなにめかし込んでるわけ?」
「っ、別にそんなつもりじゃ…っ」
「舞にはその色、似合ってない。別のにしなよ」
「そ、そうかな…?でも……」
何か考え込んで俯く舞の手を掴もうと手を伸ばした時、秀吉が舞を迎えに来た
「あんまり遅いから迎えに来てみれば…どうしたんだ?二人して」
「別に。話してただけですよ」
「そうか?それならいいけどな」
「ごめんなさい、私…その………」
やはり、着替えた方がいいのかも。
そう思って口を開きかけたその時。
秀吉が舞のあたまにポンと手を乗せ微笑んだ
「舞、その着物…俺に合わせてくれたのか?」
「うん。でも、あんまり似合ってないよね…。やっぱり着替えた方が……」
「だーめーだ。凄く似合ってるぞ。可愛いからそのままでいろ」
「う、うん……」
(秀吉さんは優しいからそうやって言ってくれてるんだろうな。気を遣わせちゃったよね…)
申し訳ない気持ちで秀吉を見上げると、秀吉はいくぞ、と言わんばかりに手を繋いだ
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