第9章 祈りと願いと 後編 (光秀×舞) R18
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暫くして、信長が出陣したとの報せが入り、光秀達も越前へ向け侵攻を開始した
山を越え、気付かれないようにゆっくりと進軍する
ずっと光秀の隣で馬を歩かせていた家康が、思い立ったように口を開いた
「あの…光秀さん。心配じゃないんですか?舞の事」
不意に舞の名前が出て、光秀は家康の方へ顔を向ける
「何故そのような事を問う。安土城はどこよりも安全だろう」
「みんな、舞が帰ってきてから構いっぱなしで、いつも誰かが傍にいる感じです。俺が光秀さんなら絶対に無理です」
いつも誰かが傍に、という言葉に無意識に眉がピクリと反応してしまう
「特に信長様は、毎日のように天主へ舞を呼び出してるし…それに…」
「それに、なんだ」
「信長様の舞を見る目が、ちょっと…普通じゃない。時々、舞を凄く愛おしそうに見つめてる」
「信長様が、か?」
「はい。どうせ後で合流するんだし、さっさと終わらせて信長様と話した方がいいと思うけど。それじゃ、言いたい事は言ったので、俺はちょっと前を見てきます」
家康はそう言うと、馬を前に走らせ去っていった
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