君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第11章 Sp Two stage Butterfly
栗田「波音ちゃん!」
試合終了した直後足が縺れて身体が傾く。
うつ伏せの状態で人工芝の上に倒れると動かなくなった。
ムサシが腫れている膝の様子を確認する。
ムサシ「…病院に運ぶぞ。」
栗田「う、うん!」
正常では無いとわかった一行は彼女を担架に乗せて近くの最京大学附属病院へと運んだ。
救急車よりも運んだ方が圧倒的に早かった。
──────
「あんた、馬鹿だなぁ?」
「うっ…すみません。」
波音が目を覚ますとよく骨折等で大変お世話になっている主治医の橘花(たちばな)先生がお説教をする。
「この脚じゃあ、明日の水泳大会には出られないよ。」
「そんなぁ…。」
「自業自得だね。幸いにも腫れてるだけだったから2、3日入院したら治るっしょって所かな。」
怪我の程度は比較的軽めな方。さらに膝を酷使していればちょっと危なかったそうだ。
「やっぱり水泳大会には」
「出られません。脚壊れてもいいなら出れば?バタフライの選手だから腕のほうがよく使うけど、脚だって動かさないといけないんだし、腫れてる場所も場所だから。」
「えーん、折角練習したのにぃ〜。」
頬を膨らませて不服の表情。
その話を聞いていた栗田とムサシは少し罪悪感が募った。
ヒル魔は何を考えているんだか…腕を組み、風船ガムを膨らませる。
ヒル魔「…ま、この冬だけだしな。」
廊下の静けさを冷たい声で破った悪魔。
そのまま、この病院を後にした。
それに続けてムサシと栗田も彼女の病室を去る。
外に出ると雪がしんしんと降ってきていた。
そんなとても寒い日の出来事である。