君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第10章 ☆Bitter+Bitter=Sweet
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寝息を立てながら気持ち良さそうに寝ている波音の隣で彼は寝顔を見ていた。
スカート姿でも普通に似合ってる…ってかそっちの方が可愛いじゃねぇかよ。
何が"似合わない"だ。背が低い程そういうのは似合うんだよ。
…ま、俺以外の男は見てねぇって言うから嬉しいっちゃ嬉しいが。
彼女が寝てる間にシャワーでも浴びてこようとヒル魔はここを後にする。
数分後シャワーを浴び、爽やかな香りを纏って戻ってきた。
髪の毛を拭いていると彼女の鞄に何かが出ていた。
手に取ってみるとスケジュール帳みたいな本。
ページをめくると女性らしい綺麗な字で書かれる日常。
日記だった。
"私には友達が少ない。自分が女の癖に女々しい子とか苦手だから女子校だと更に不安が増す。本当は泥門に行きたかったけど夢の為に頑張る。私はそう決めた。"
入学式前に書いたページだ。
希望と夢と辛抱と葛藤など様々な感情が滲み出ていた。
"100mバタフライ01:02.53
うーん…中々1秒縮められない。
できればこの1年間で1分短くしたいけど…無理かな、こりゃあ( ̄▽ ̄;)"
時々、絵文字もちらほらあって女の子らしい日記ではあった。
"自分の右手…感覚がない。どうしよう、怖い。夢なら覚めたい。こんなんじゃ水泳大会いけないじゃん。いやまだ希望は持てる。今から練習すればきっといける!頑張れ波音!私の強気パワーで治せるよね!"
"…いやぁ、参ったな。医者から水泳出来ないって言われちゃった…あはは。あんな事にならなければ行けたのに…一生に2度しかない大会が終わっちゃった。しかもこんな形で…悔しい…死にたい…これから先どうしたらいいか分からない。友達も、知り合いもここにはいない…孤独だ。"
本当の本音が漏れた日記。
こんな時も自分の気持ち書いてたのかよ…。
"泥門デビルバッツ!いいチームだと思う。あまりメンバーと話した事がないから個人個人までは分からないけどこりゃ相当強いと予測する。私も足引っ張らないように頑張らなきゃな!…数学も頑張らないと…あはは…。"
「…ケッ、強いに決まってんだろうが。」
一通り日記を見てヒル魔は笑う。
「俺が絶対クリスマスボウルに連れて行ってやる。てめぇの見れなかった全国の景色見せてやるからな。」
彼女の寝顔は少しだけ嬉しそうに見えた。