君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第1章 26298時間21分後の再会
「…あ、ごめん。初対面なのに…つい喋り過ぎた。」
私は頭を掻いて苦笑した。
初対面の人の前で出しゃばり過ぎた。
「ううん、いいの。栗田くんとの出会いが聞けて良かったわ。」
優しく微笑む彼女。
凄く…美人である。
羨ましい限りだ。
「本当はまだまだ話してたいところなんだけどさ…悪魔が編入しろしろ煩いから勉強…しようぜ。」
「あ…ええ。数学だけ…って言ってたけど…ほかは本当に大丈夫?」
「あたし、超文系だから国語と英語は5取れるんだけど…数学だけは…2とか1…なんだよね。」
「成程…じゃ、じゃあ、頑張りましょうか!」
「姉崎さん、よろしくお願いします。」
「まもりでいいわよ。波音ちゃん。」
彼女の笑顔で自分は胸を打たれたのだが、その後の勉強でお互いに大苦戦するのであった。
──────
編入テストを500点満点中414点で余裕に合格した自分は泥門高校の生徒となった。
服装は普通…では無かった。
女子なのになんで男子用の服なのかよく分からなかった。
ネクタイとズボン…まぁ、その方が気が楽だけど。
スカート履いたって似合わないし。
2年3組。
出来れば知り合い誰もいない人がいいな。
特にあいつとは顔を合わせたくない。
…と言うフラグを建ててしまったのはきっと自分が悪いんだと思う。
「Ya-Ha-!!」
「な、なんて日だ…。」
休み時間になった途端隣の席が煩くなる。
まさか…隣になるとまでは思わなかった。
しかも、まもりさんも栗田もムサシも別クラスなんて…。
「悪夢だ…。」
「よぉ、糞アマ。ここには水泳部は勿論無ぇ。だからてめぇにはアメフトのマネージャーやってもらう。」
「ですよねー、…分かってたよ。」
「情報収集能力鈍ってねぇだろうなぁ?」
「…ま、やって見ないと分からないだろ。」
「期待してっぞ。26298時間21分の遅れ、カバーしやがれ!」
自分の事情を知ってか知らずか彼の感情はイマイチ分からない。でもやはり悪魔の頭。自分のいなかった時間を即暗算するなんて…。超理系で超文系の天才頭脳の持ち主に手も足も及ばない。
言われるがまま、あたしは正式にマネージャーとしてやる事になったのだった。