君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第7章 泳ぎ舞う蝶
気が付く時には朝になっていた。
いつからか寝ていた彼女の上には布団が掛けられていた。
寝ぼけ眼でゆっくりと起き上がろうとすると大きな手に押されて倒される。
「まだ寝てろ。まだ朝はえーから。」
「…妖ちゃんは起きてんじゃん。」
彼は波音の隣でパソコンを弄っていた。
上半身は裸なので多分彼はまだ服を着ていないだろう。
「妖ちゃあん…。」
そんな彼に波音は寝たまま近付き、手を脇に回して抱き着いた。
「邪魔だ。」
「んも〜、妖ちゃん冷たいなぁ〜。」
お得意のむぅ、という顔。
しかし、そんな顔しても効かないので彼は無糖のガムで風船を作りながらパソコンをやる。
相手にして貰えずつまらなかった彼女は、トイレ行こ。と呟く。
流石に裸体で歩くのは嫌だった為、ヒル魔がランプ台に用意していたタオルケットを羽織り床に降りる。
片足をついた瞬間ズキッと激痛が走る。
「ひ、ひゃ〜、痛い。」
腰がトンカチに叩かれたような痛みに襲われた。
その場で蹲る波音にヒル魔は溜息を付く。
「激しいセックスした後の女は腰痛いに決まってんだろうが。そんな事も知らねぇのか。」
「言葉がストレート過ぎる!他の言い方あるだろ?!」
ストレートな言葉で恥ずかしそうに顔を赤らめる彼女。強気に注意しながら、よれよれと御手洗に行く。
「…そういう所は乙女だな。」
ケケケ、と楽しそうに笑いながらパソコンに文字を打ち込んだ。