君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第1章 26298時間21分後の再会
中学生の時、酷い思い出があった。
「この糞アマ!てめぇも同じ高校行くんじゃなかったのか!」
「ヒ、ヒル魔!落ち着いて!」
良寛がヒル魔を止めに入る。
悪魔は笑っておらず、目も血走っていた。
この事を聞いた良寛も厳ちゃんも驚きを隠せない様子だった。
「仕方ねぇだろ。こいつは期待の星なんだからな。」
重い雰囲気の中に入り込んでくるのは酒奇先生。
益々緊迫した雰囲気になる。
「…すまない。本当はみんなと同じ高校に行きたかった…。」
拳をグッと握り、涙を堪えた。
いつかは言わなきゃいけない。
こうなる事は想定してた。
でも…やっぱり辛くて。
言葉が繋がらなかった。
「あたしは…水泳で…バタフライで日本一…日本選手権に出たい!その為にはどうしても別の高校に…水泳部のある所に行かなきゃいけ無いんだ…。強豪なチームに入って自分を限界まで鍛えたいんだ!」
やっとの思いで伝えた自分の想い。
人に考えを伝える事が苦手なあたしにとっては試練だった。
「もし、3人が男子校の神龍寺に行けてたら…あたしだって安心して水泳部のある強豪校に行けた。…神龍寺の件が白紙になって泥門に行く事になった時、あたしも…その高校に行って3人がクリスマスボウルまでしっかり見届けたいって思った。」
力が入り過ぎて爪が掌に入り込み、血が垂れてきていた。
痛みなんて感じられなかった。
3人の表情だって見られなかった。
「でも」
ーなんて神様は意地悪なんだろう。ー
「やっぱりそんな願いなんて…」
ーなんで、運命に逆らえないんだろう。ー
「叶うわけがなかったんだよね。」
ー現実は残酷だ。ー
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