君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第14章 『天才とは努力する凡才のことである』
〜楓 Side〜
なら、私から今度は話そう。
…一言で言うと波音といずみは私にとって大きな起点だった。
確かに最初は嫌いだった。
乱暴者の波音とは関わりたくもなかったし、いずみはとにかく煩い…。フリスビーで遊んだのもいずみが駄々をこねるからよ。
でもなぜだか2人に惹かれていった。
そして時間が2人との絆を強固にしてくれたのよ。
…さて、阿含兄弟ね。
私はよく雲水と話していた。
雲水は阿含に振り回されて大変そうだったわ。
「楓、お前図工得意だろ?」
「……それがどうしたの?」
「絵の宿題、手伝ってはくれないだろうか?」
私は雲水に絵の基本を教えた。
「この構図は良くない。これをもっと小さく描いて。」
「あぁ。……こうか?」
「そう。………ここの色合い、汚い。もっと薄い色から重ねて使いなさい。」
「なるほど…凄いな。」
絵の手伝いをしてたら、阿含が来た。
「あれ〜?運子ちゃん、まぁだ終わってないのかぁ〜?」
「阿含。…まぁな。」
「へったくそな絵。俺の見てみろよ。」
「これは…。」
それは壮大で私にはない、独特な視点。
色使いの派手さ、構図の丁寧さ、細部まで細かくペン入れがされており…何かの賞に入るのではないかと思うぐらい。
「そこの陰キャカスよりも上手いだろ〜?」
「…うるさい。」
「あ゛〜?なんつった?てめぇ。」
「やめろ阿含。」
本当嫌い。反吐が出る。
きっとあのなんでも出来る才能が羨ましいというはあると思う。
あんな歪んだ性格の奴、私は最低限でも本当は関わりたくないわ。
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