第1章 再会
正月休みも終わり、今年初めての登校日に転入生だ。
結構半端な時期に。朝のホームルームで担任から言われて俺は願った。美少女あれと。まぁ、そんなアニメじゃあるまいし、出会った瞬間恋に落ちるとか現実じゃありえねぇんだが、男子が来たら萎えるしイケメンが来ても尚更ムカつく。
だから俺は願う、
美少女あれと。
頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む…!!
1人、目を瞑り頼むのポーズを全力でやって、周りの女子からは「キモッ…」と見られながらもブツブツと念仏のように唱える。
「それじゃあ入ってこーい。」
「失礼しまぁ〜す♪」
ハッ…萌え声……!!
顔をあげた先には美少女がいた。かわいい…これはゆるふわ系の美少女だ。明るい茶色の髪がふわふわ漂って前髪をあげてる、しかも巨乳!横顔きれーだし目ぇくりくりだし細いし巨乳!
ん…?でもこの声、どっかで聞いたことあるような…?
短いチョークを使いこなしカツカツと黒板に名前を書く転入生(美少女)。
《錦川 霜眞》
「錦川霜眞です!字面だけだとよく男の子に間違えられます。短い間ですが、どーぞよろしくおねがいします♪」
霜眞、霜眞、そうま、そーま………。ッ!!!!
「(ガタンッ!)おまっ、そっ……そーまか!?」
念仏らしきものを唱えてた男が突然立ち上がり、転入生(美少女)を含めクラス全体がキョトン…となる。
「…?あっ、りゅーちゃん♪」
2人にしか分からない空気が漂う教室。空気を変えるように担任が「錦川の席はあそこだ…」と促し「はぁ〜い♪」と素直に従う霜眞。
――――ホームルーム後
担任が教室から出たことを確認した途端、
「「そーま!!(りゅーちゃん!!)」」
とお互いに叫び合う。
「連絡ぐらいしろよ!」
「ごめんごめんっまさか同じクラスになるとは思ってなくて、学校終わったらりゅーちゃんち行くつもりだったんだよ?びっくりさせよーと思って…」
「手紙もろくによこさねぇし、あれから1回も連絡とれなくて心配したんだかんな!!」
「むぅ〜…だって1ヶ所に留まれないんだよ?電気通ってないところもあったし、じゅーげき戦やってるとこにいた時もあったんだよ?無理だよ、むり!」
会話の内容から察するに、転入生(美少女)は海外でヤバイとこにいたらしい。