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俺と私の、【ヒロアカ】

第2章 私の人間関係。





「“ドュクシ”って…なんなのかしら。」



少女の口から飛び出てきた突拍子もない言葉に、瀬呂は頭を抱える。

そして、自身のついさっきの行為を後悔した。


5分程前…


あの子はいるかなというちょっとした好奇心で公園の中を覗き込むと、

バッチリ目が合ってしまって、

挨拶せざるを得なくなって、


そして現在、逃げるタイミングを失ったというわけだ。


先日知り合ったこの少女。

はっと息を呑むほどの美人のくせ、言うことはいつもエキセントリックで、“残念な”美人なのだ。


まぁ、瀬呂にとっては、だが。


「最近の流行りは分からないわ。」


はぁ、とため息を漏らしながら、彼女はよく分からない会話を展開していく。

気だるげにしているだけで、“憂いを帯びた美しさ”と称されるのだから美人は得だ。


そんな憎まれ口を心の中で叩きながら、瀬呂も冷静に返してやろうと奮闘する。


で、なんの話だったか。
“ドュクシ”の話?


「いやそれ流行ってんの?」

「うちの高校では大流行りよ。廊下を歩けば必ず5回は聞こえるわ。」

「奇特な高校だな。」

「クラスの男の子が始まりよ。ドュクシを流行らせて俺はトレンドのリーダーになるって意気込んでたわ。」

「…普通の高校ってそんなんなの?知らんかった。」


きゃいきゃいと盛り上がる子供たちを前に、瀬呂は落胆にも似た感嘆の声をあげてしまい、はっと口を抑える。


割とガチでその男子に戦慄してしまったから。


雄英の男子も結構なアホだと思ってた。


上鳴とか、峰田とか。
あいつら個性派ではあるが、正気は保っていた。

地味だ地味だと言われる瀬呂自身、一番普通科の人間に近いもんだと思っていた。


普通科のヤツら、正気じゃないアホだったなんて。


瀬呂は人生初、カルチャーショックを体験した。


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