第2章 私の人間関係。
「俺になら別にドュクシしてもいいだろ。」
「え?」
瀬呂は照れ隠しでまっすぐ前を見たまんま、言葉を続ける。
「別に気を使うような相手でも無いだろ。」
「瀬呂くん…それは……。」
律は珍しく言葉を詰まらせて、それから嬉しそうに言う。
「友達ということでいいのかしら。」
「まぁ…そんなもんじゃね。」
「嬉しいわ。ただの顔見知りだと思ってた。友達に昇格ね。」
昇格。
その言葉にがっくしとまたずっこけそうになる瀬呂だったが、何とか踏みとどまる。
「嬉しいわ。喜びの舞の代わりにドュクシをしてもいいかしら。」
突然彼女のエキセントリックさが爆発した。
まぁ、いいか。と真剣に向き合わないようにして瀬呂は適当に流す。
「ドュクシっ!…ドュクシ……。」
瀬呂は脇腹に2発ほどドュクシをされた。
しかし、2発目はそこまで力はなく、見れば律は微妙な顔をしていた。
「なんだその顔。」
「ぜんっぜん面白くないわ。男子たちはなにが楽しくてドュクシをしているのかしら……。」
突然の真面目で微妙な顔に、瀬呂は今度は耐えられずずっこけた。
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次の日瀬呂が教室に行くと…
「瀬呂ー!おはよー!ドュクシッ!!」
「え、なに。」
「流行ってんだぜー!ドュクシッ!」
ドュクシが流行っていた。