第6章 爪痕よりも深く※※
敵でありながら想いを募らせるようになってしまった女と、肌を重ねている。
強く、高潔なxxxxが、無意識のうちに、抱えたものに押し潰されまいと必死に抗っていた。
不意に零れ落ちたそれにも、自分で気付くことはなかった。
その痛ましい姿を、俺はついに放っておくことができなかった。
xxxxの境遇を考えてみれば、当たり前のことだ。
傷心の身体でたった独り、何を目論んでいるのか知らないが、表面上最も憎むべき敵の組織に参入することになったというのだから。
涙を見せたのは、偶然だったように思う。
無意識に溜め込んだ負の感情が、何かの拍子に決壊することはよくあることだ。
それでも、それは俺にだけ見せてくれのだと、だから俺が眠らせてやらなければならないと、自惚れたい自分がいたのも事実だ。
xxxxとは、一度酔いに任せて寝てしまったことがある…と思い込んでいたからこそ眠らせてやるなどと言ったわけだが、きっとそれはxxxxの虚言だったのだと思う。
この夜、経験する何もかもが、忘れ難い初めての感覚だからだ。
薄暗い部屋でも分かるくらい美しい四肢は、綺麗だと思わず感嘆が漏れてしまうほど。
一糸纏わぬ身体は、完璧な美を体現した彫刻のよう。
俺を受け入れて少し苦しそうに眉を顰める表情、薄く形の良い唇の端から漏れる甘い声は、あまりにも扇情的で。
控えめで上品でさえあるものの、普通なら渇望しても見ることは叶わない、乱れるxxxxの姿…。
こんなもの、酔っていたからと言って忘れられるわけがねェ。
先の出来事でxxxxを気にかけるようになってから、いつもどこかであの男の影が俺を悩ませた。
この美しい身体に、傷や痣ができるほど痛めつけて嬲ったであろう、ドフラミンゴ。
普段からは想像つかないほどに、こんなにも愛らしい姿の彼女を間近にして尚、力づくで蹂躙するなどどうかしている。
(どうかしていてもおかしくない輩であるし、そういう性癖なのかもしれないが)
あいつだけは、絶対に許さねェ。