第2章 艶羨は白煙の中に
断片的に残された情事の記憶が、いっそう俺を苦しめた。
xxxxはあられもない姿を他の男にも、例えば、トラファルガーにも見せたのだろうか。
じりじりと心臓を掴まれるような感情の正体は、嫉妬だと認めざるを得ない。
海賊に好意を抱き海賊に嫉妬するなど、罠にはまったにしては傷痕が大きすぎる。
どうか一時の感情であってほしいと切実に願った。
こんな最悪な感情も、記憶も、煙のように消してしまえばいい。
葉巻の先端から煙る白煙を、穏やかな風がゆらゆらと広げて弄ぶ。
慣れているはずのそれが目に染みて、俺は瞬きしそうになるのを堪えた。