第5章 快楽
夫はずっと私に何も無いように接し続けた
「リリー…悪いけどもう仕事なんだ…」
「そう…分かったわ。行ってらっしゃい…」
なにか言おうとしてもこうして毎日仕事と偽って彼は不倫し続けてた
だから私も…
結局は復讐みたいなものになってる
ジャックは私を愛してくれているし、私も愛してる
宅配員のハリーは私にいつもラブレターをそっとくれる
こんな人生がずっと続けばいいのに―――
そんなことを思ってた矢先
夫が急に早く帰るなんて言い出した
不倫相手とケンカでもしたのか…
私はあえて、嬉しいように接した
私だって隠し事が山ほどあるのだから
夫も本当の趣味を私に隠し続けてるかのように
夫の本当の趣味は緊縛すること
婚約してすぐの頃、夫から縛っていいかと聞かれ冗談半分に許可すると
夫は息を荒立て、私を縛ってきた
内心とても気持ち悪いと感じたし、嫌な趣味をしてるとも思った
それ以降、私は縛られるのが嫌いになって毎回夫の縛っていいかと言う質問にすべて拒否していた
「だって…あなたが縛ると痛いんだもの」
「そ、それはごめんよ…でも君が美しいから…」
「もう2度としたくないわ!」
この会話以来、夫とS○Xすらなくなってしまった
そして夫も何故か緊縛が趣味だということを私に隠すようになった