第2章 狂い
「ウィルソンさん!?その傷どうされました?」
「あぁ…ちょっとな…」
ジャックの顔には痛々しい傷が
「どなたかに殴られたんですか?」
「まぁーな。で?話ってなんだ」
ジャックは話をそらした
「で?なんか見つかったのか?」
「ウィルソンさんは、リリーさんがよく宅配をすることを知っていましたか?」
「あ?あいつはたしかに高価なアクセサリーなんかを付けてたが、宅配を頼んでたなんてことは知らねーなー」
「リリーさんは服が被らないようによくしていたそうで…」
「あぁ…たしかに服が被ってんのは見たことがねーな」
「それと、旦那さんのことは何か知っておられますか?」
「あいつの旦那の事なんて知らねっ…」
「ウィルソンさん…?」
「まーいいや…この傷、あの男の仕業だ」
「エバンズさんがあなたを?」
「そうだ。妻をよくもたぶらかしたなって言われて店で暴れられたよ…」
ジャックは傷の経緯を話す
「あいつヒョロい旦那かと思えば、かなりの力で殴ってきやがったよ」
「エバンズさんが…」
「しかもよー、俺があの男にリリーのこと話したら、リリーはそんな尻軽な女じゃないとか言いやがってな…」
ジャックは怒りを抑えつつ話を続けた
「あの男はリリーの事なんてこれっぽっちも分かっちゃいねーよ。尻軽なんて言葉で済まされるの俺もは嫌いだ。でもあいつは旦那にもう1ミリも愛しいなんて思ってないって泣きながら言ってたんだ」
「リリーさんがですか?」
「あぁ。リリーはもう旦那のことなんて本当に愛してなかったんだ。そりゃ放置されっぱなしだぞ?嫌いになるに決まってんだろ?」
その言葉を残しジャックは取調室から出ていった