第17章 two faces〜2つの顔を持つ復讐者〜【荼毘/切甘】
立ち上がった後ポンポンと私の頭を撫でた荼毘の手は、ヴィラン連合入ってから人をたくさん殺してきた人の手だと思えないくらい優しくて暖かかった。
『…荼毘っ!その、ごめんなさい。背中痛むよね?』
「敵地にずっと潜入してプロヒーローなのになりたくもねぇヴィラン続けてるお前の心程痛くねぇよ」
『知ってたの?私がヴィラン連合に潜入調査できたプロヒーローだってこと…』
「最初から分かってた。で、どうするプロヒーロー?
俺を今ここで捕まえるか?」
『ライセンスは事務所にあるから今の私にはあなたを捕まえる権限はないわ。』
「ほう、でも良いのか?このままアジト戻って…
口止め料払っとかねぇと俺が全部洗いざらい死柄木達に喋るかもしれねぇぞ?」
『え、うそ!喋るの!?…それ困るわぁ〜口止め料か、いくらなら良い?あーでもあまりお金持ってないから高額請求されると困るなぁ〜…』
ぶつぶつ言いながらお財布を開けて中身を確認する
「金よこせとは言ってねぇ.今日はこれで許してやるよ」
『え?』
私の顎を上に向けて私の唇が荼毘の唇と重なる。
『…なっ、荼毘っ…!?』
「楓、俺の女になれ。後悔はさせねぇ」
『……あはは』
「何笑ってんだ?」
『いや、荼毘ってカッコつかないなぁと思って…ぶくく』
そう言って私は荼毘の足元を指差す。
黒い靴の間から見えるボーダー柄の靴下が両足とも裏返しで履いている。
「……わざとだ、おしゃれだろ?」
『んなわけないでしょっ!』
荼毘のクール系ド天然のおかげで和やかな雰囲気でアジトまで帰れた。
あれから数日後、炎系の個性を持つヴィランがコンビニ強盗をして近くにいたヒーローにより現行犯逮捕された事がニュースで流れた
。余罪を追及したところこいつは過去に殺人も犯していてその被害者の名前に私の両親の名があった。
END