第13章 【路地裏企画】路地裏アンアンin轟焦凍
「……花火見に行きてぇ」
夏休み中、私の寮の一室で焦凍が呟いた。
彼の手元の携帯には近所で今日の夕方から行われる花火大会のホームページが開かれている。
『あー、そういえば今日花火大会だったね!行く?』
「良いのか?」
『うん』
「じゃあ屋台で射的とヨーヨー釣りと金魚すくいとかもやりてぇ」
『うん』
「あと、焼きそばとじゃがバターとフランクフルトとかき氷とか食いてえ」
『良いんじゃない?』
「あと、神社の森の中で青か
『調子乗るなよ?』
私は焦凍の顔面を片手でガシッと掴む。
焦凍は床に置いてあった黒い袋を私に手渡した。
私はそれを受け取って袋から開けた
「花火大会これ着てくれ」
袋の中から出て着たのは白地に椿の花が描かれた美しい浴衣とそれに合う赤い帯と椿の髪飾りと赤い鼻緒の黒い下駄。
『…綺麗、これどうしたの?』
「昨日駅前で買ったんだ。楓に似合うと思ってな」
『わざわざ買ってくれたの?ありがとう!』
「……白い浴衣から透けて見える楓の下着、エロいだろうな…」
『あ、今の一言で全て台無しだわ』
なんだかんだ言いつつ浴衣を着て私達は雄英の寮から徒歩30分の場所にある神社の花火大会へと繰り出した。
神社には屋台がたくさん並んでいて通りは人でごった返している。
『わぁ〜人凄いね!』
「あぁ」
焦凍は自前の濃紺の浴衣を着ているが、普段から着慣れているせいかとても様になっている。
黙ってればとてもハイスペックな彼氏だと思う。
中身は変態だけど。
「……どうかしたか?」
『ん?あ、何でもないよ?』
人波をかき分け、私達は屋台の並ぶ通りを歩く。