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歪な夢のカケラ【ヒロアカ裏メインの短編集】

第10章 約束【オールマイトBDコラボ/裏夢】



ヴィランを倒した後にまた別の地区で現れたヴィランを倒した直後、手にして開いた携帯の画面は21:50を示し、ラインの通知がいくつも連なっていた。

「………あっ!!」

その通知は全て同じ人から送られてきたもので、彼女の楓からだった。

それを見た私は今朝の約束を思い出して焦り、急いで家に帰ろうと空に飛び上がった。

夜の冷たい風を切り、私が家に到着したのは約束の時間から3時間過ぎた22時だった。

玄関扉に手をかけて手前に引こうとするも、約束の時間から3時間過ぎている事を考えると、彼女はきっと怒っていると思って身体がなかなか言う事を聞かない。

(どうしよう…)

なかなか決心がつかず、腕に力を込めてはパッと手を離す動作を何度も繰り返していると、突然ドアが私に向かって迫ってきた。

「oh!?」

『おぉ!?…びっくりしたぁ〜』

まさかの本人登場で驚いた私の叫び声に、楓はびっくりした後ため息をついて呆れたような表情を浮かべた。

「や、やぁ…ただいま」

『ただいまじゃないわよ!今何時だと思ってんの!?約束忘れてたでしょ!?』

「わっ…忘れてたわけじゃ……その、ヴィランがさ…」

『ヴィランヴィランって…新人ヒーローだしヴィラン退治に力が入るのは分かるよ!?
でもっ…でも、今日くらい約束守ってよっ!』

最後の方の言葉を涙声にして叫ぶ彼女の目には、溢れ出した感情による涙の膜が張っていた。

「いやっ…あのっ…ご、ごめんね?」

『ふんっ!もう知らない!!』

堪忍袋の尾が切れた様子の楓は、怒りのセリフを吐いて私に目もくれずドアを閉めようとする。

「ちょ…ちょっと待って!!」

かろうじで閉まりかけた隙間に手を滑り込ませて力任せに腕を引き、ドアと一緒に引っ張られて私の胸にダイブしてきた楓を反射的に両腕で抱きしめた。

『きゃっ!!』

「おっと!」

『………!?あ、ちょっ…』

私の腕の中から脱出しようと暴れる楓を抱き締める腕を更に強め、強硬手段で文句を言いたげな楓の唇を塞いだ。

数秒後に唇が離れると、2人の間を銀色の糸が繋いだ。

「とりあえず部屋、入ろっか」

大人しく素直になった楓をお姫様抱っこの状態に変え、急ぎ足で部屋に足を踏み入れた。
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