第21章 もしも願いが叶うなら…【轟焦凍/切甘裏夢】
『私、初めてだよ…今日が終わるのがこんなに怖いと思うのは…』
「俺も怖い…24時を超えたらもう楓のいない世界になるなんて想像つかねぇ。楓っ…すまなかった、俺お前に甘えて頼ってばっかりで…守ってやれなくて、でも俺はお前が好きだ…愛してるっ…愛してるんだっ…ふっ、ぐずっ…」
」
『焦凍…』
楓は上半身を起こして俺を抱きしめた
『焦凍大好きだよ!愛してる…こんな私を、愛してくれてありがとう。』
楓と抱きしめあったまま時計の針は24時を指した。
楓の身体は元の事故当時の状態に戻り顔は原型がないくらいボロボロになって痛々しい痣も残っている。
ボロボロな楓を抱きしめて、俺は朝までずっと泣き続けた。
もしも願いが叶うなら…
楓が生きていた時間が永遠に続いて欲しい…。
ずっと楓の笑顔を見てずっと隣にいて
ずっと……
楓に生きていて欲しい。
けれど、それだとまた最期を看取る時にもっと生きて欲しいって欲が出てくる…
ずっと一緒にいる事が叶わないのなら
せめて、楓に安らかに眠ってもらいたい。
俺が向こうに行って彼女の髪の毛を撫でて頬にキスをするその日まで……。
END