第20章 登下校の満員電車【爆豪勝己/裏】
私の嫌いな場所は3つある
狭いところ
人混み
そして……
登下校中の満員電車。
ガタンゴトン…ガタンゴトン……
今朝も電車は満員で前、横、後ろ、全方向から人の壁にあたり押し潰されながらも私は学校の最寄り駅までこの乗り物に運ばれる。
私は登下校中のこの時間が嫌いだ。
別に学校が嫌いなわけではないんだけど、電車に乗ってるとここ最近毎日痴漢に遭うからだ。
スッ…ススッ…。
『……っ!(まただっ…)』
今日も誰の手か分からない手は私のお尻を撫でる。
毎回お尻を撫でる手は皮が分厚めの逞しい手で後ろの方から痴漢が付けてる香水だろうか?甘い香りがする。
最初は自分の自意識過剰か?と思った。
けど、その手は明らかにそして大胆に私の太ももとお尻をいやらしく撫で回すものだからこれは確実にそうだと確信に至ったし、それは毎回同一人物の犯行だという事も分かった。
今度こそは痴漢の手を掴んで駅のホームに引きずり出してやる!と思っても実際被害に遭うとそれができない。
恐怖で声も出ず、身体が動かなくなる。
そうしているうちに私の降りる駅になって痴漢も人混みに流されるように溶け込んでしまう。
そして、今日も雄英の最寄り駅までのあいだに痴漢を捕まえることができなかった。
その日の昼休み、私は普通科の教室を一目散に駆け出して食堂に向かう。そして、いつも切島くんがいる席の向かい側にあたる席を陣取る。
切島くんと私は学科は違うけど、男友達の中では1番話しやすい友達でよく彼と彼の友人達と一緒にお昼ご飯を食べる仲。
切島くんが友達を連れて食堂に来たのが見えた私は席に座ったまま切島くんに声をかける。
『切島くん、一緒にご飯食べよ!』
「おう!良いぜ〜」
そういうと切島くんは瀬呂くん、上鳴くん、爆豪くんの3人に良いだろ?と了承をとる。
それぞれ食べたいものを買ってきたあと切島くんと友達3人はいつもの席に座った。
お皿に乗った焼肉定食を頬張る切島くんに私は勇気を出して、あの事を相談してみようと思った。
『…切島くん、ちょっと相談したい事あるんだけど良いかな?』
「ん?どうした?俺でよかったら何でも聞くぜ!」