第1章 one!
まさかの緊急事態に対面している。
同室の子とも挨拶が出来てホッとして、今は軽いオリエンテーションみたいな感じだ。そんな最中に悲劇が起きた。
なんと周りが身長高くて何も見えない。
出席番号が後ろの方だから、見えないのは当たり前だけどもまさかこんなに見えないとは。私が身長高くない(この身長よりも低い人なんて沢山いるが)のがいけないだろう。
こんなことだったら牛乳毎日飲んでおけば良かった…!
今は体術の説明だ。合気道を嗜んでいたが、今は柔道で先生の声とバンッと畳を叩く音が聞こえるがなんの技をなっているのか分からない。辛い。
背伸びをしてみても人の頭しか見えなくてここで大きな声を出して前の列に行かせて貰おうか。と思ったが今はそう言える状態でもなかった。
「今、背負投げの基礎をやっているよ。」
「え……?」
小さな声が聞こえた。横を見ると周りよりもほんの少しだけ髪の毛長めの男性が私を見ないで口だけを動かしている。
そして、目線だけこちらに寄せてウィンクされた。
な、な、な〜!!!神様、仏様!!
今からでも拝み倒したいがここでやるとこの人まで怒られてしまうから軽くお辞儀をした。
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神様のおかげである程度の事は分かった。
午前の授業が終わった時にお礼を言おうとして、探したがどこにも居なくなっていて残念な気持ちになる。
男性と女性で別れなければ分かったのに!お名前だけでも聞いておくのが正しかったか。
「何やっているの?お昼、行かないの?」
「美和(ミワ)ちゃん!今から行かせてもらいます!」
同室の友達にそう言われて気づいた頃には、人が少なくなっていた。