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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第6章 トロイメライ


翌朝目が覚めると、いつものごとく翔は俺の胸に潜り込むように眠っていた。

その姿が愛しくて、翔の背中に腕を回しそっと抱きしめた。

「んっ…」

翔が身動ぎをし、慌てて腕を離した。
そのまま、また静かに寝息を立てる翔…
体から力を抜き、ホッと息を吐いた次の瞬間
今度は翔の腕が俺の腰に回った。

ガッチリとホールドされた体…
嬉しいんだけど、ドキドキが止まらない。

自分で抱いた時はそうでもなかったのに、抱きつかれるとなんでこんなに緊張するんだ?

ただでさえドキドキしてるのに
翔は腕に力を込め、体を密着させたかと思ったら、俺の胸に頬を擦り付けてきた。

ほんと猫みたいだな…

暫くその様子を見ていたら
気持ちが和んできて…更にどうしようもないくらいの愛しさが押し寄せてくる。

もう一度翔の背中に腕を回し、ぎゅっと抱きしめた。
それでも起きる様子のない翔…

そろそろ起きなきゃいけない時間だけど、まあいいか…もう少し、この幸せな気持ちを味わっていよう。

それにしても翔のこの警戒心のなさ…大丈夫か?

俺が信用されているからなのか
はたまた、俺は翔にとってなんの危険性も感じないくらいの安全パイなのか…

「んんっ…」

翔の体に力がこもる…ふっと力が抜け、顔が上を向いた。

「おはよ…」

「ん……智…おはよ…」

ボーっとした視線の翔が挨拶をすると、ハッとしたように目を見開いた。

「え…なんで…」

「ん?どした?」

「なんで俺たち…抱き合ってんの?」

「だってお前、抱きついてくるんだもん。
俺の腕のやり場がないから、背中に回しただけだけど?」

驚く翔に笑顔で答えてやった。
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