第5章 子守唄
《智サイド》
スクリュードライバーのオーダーを承け、相葉さんに届ける翔。
その後の様子を見ていると翔が少し戸惑っている様だった。
相葉さんになにか言われた?
カクテルに問題はないと思うんだけど…
他の作業をしながら、何気なくそちらの話を聞き耳を立てて聞いてみた。
相葉さんが翔を食事に誘ったみたいだ。
となるとスクリュードライバーのオーダーもわざとか。
『貴方に心を奪われた』
残念ながら、カクテルに込められた意味は、翔には伝わらないだろうけどな。
翔は返事を躊躇ってるようだ…
間に入ってやった方がいいか?
さっき、ニノが言ったことを思い出した。
『相葉さんなら優しいから任せて安心なんじゃない?』
そうだよな…
愛に飢えて愛情を必要としているなら、それを与えてくれる人が必要だよな。
心配は心配だけどさ
知らない誰かに誘われるよりは、誠実そうな相葉さんならまだマシ。
愛を知るには、恋人を作るのが一番てっとり早いし
相葉さんに任せてみるのも、ありっちゃありか。
結局、俺が出るまでもなく、翔は返事を保留したみたいだけど
強要しない相葉さんはやはりいい人なんだと思う。
少し考え込んでる翔に、ニノが声を掛けたが、やはり困惑気味の表情。
カウンターに戻ってきた翔に話を聞くか迷ったけど、これで俺が口を挟んだら、ニノにまた『智パパ』ってバカにされそうだし。
ニノのことだから、ちゃんとアドバイスしてくれただろう…
あとは翔の判断に任せるか。
もう大人なんだしな…