• テキストサイズ

きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第5章 子守唄


空いたテーブル席の片付けに行くと、近くのテーブルでお客様と話していたニノさんが俺のところに来た。

「今、相葉さんと何を話していたの?」

ニノさんが周りに聞こえないように、小さな声で聞いてきた。

「何って、別に…」

「そう?なんか翔が少し困った表情してるように見えたから」

ニノさんって凄い…
他のお客様の相手しながら、俺のことも見てたんだ。

図星を指され黙りこんでしまった俺を見て、ニノさんがふっと微笑んだ。

「翔ってほんと素直なんだね、わかりやすい」

「素直なんかじゃないです…」 

「そう?でも今も困ったって顔してるよ?
この店で起きたことは、俺にも責任があるんだから
隠さず話してね?」

そうか…これでもし俺が誰にも言わずに相葉さんと食事に行って
万が一、相葉さんの機嫌を損ねたりしたら…

もう二度とこの店にも来てくれなくなって、大切なお客様を一人無くすことになるんだ。

「あの…」

「ん?なに?」

「俺…相葉さんに食事に誘われました…」

「へぇ~、それで?なんて答えたの?」

「まだ返事はしてません…考えといてくれって…」

「そっか…で?翔はどうしたいの?」

「どうって…相葉さんいい人だから…
折角誘ってくれたのに断るの、申し訳ないなって…
でもプライベートで会って、相葉さんの機嫌損ねたら店にも迷惑掛かりますよね?」

「相葉さんなら大丈夫じゃないかな?
ちょっとやそっとのことでは機嫌悪くなることなさそうだけど」

「そう、ですか…」

ニノさんにそう言って貰っても、まだどうするか悩んでしまう。

「ねぇ…」

「はい?」

「翔が返事を迷ってるのは他に理由があるんじゃないの?」

他の理由?そんなのわからないよ…

でも何かが引っ掛かる。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp