第9章 愛の夢
「さてと…これでやっとゆっくりデキるな…」
カバーを付け終わったベッドに、ふたりで上がり横になった。
「うん…気持ちいいね、新しいベッドに新しい枕
それに新しいカバー」
俺の方に顔を向け、嬉しそうに笑う翔…
その頬に手を添えスッと撫でた。
「気持ちよくなるのはこれからだけど?」
「えっ?…あ…」
俺は上体を起こすと、翔に触れるだけのキスをした。
翔から離れ、翔の顔を見てニコッと笑う。
「俺の思った通りにしていいんだよな?」
翔は頬を紅くしてゆっくりと頷いた。
翔に覆い被さるように、もう一度唇を重ね合わせる…
何度も啄むようにキスをしていたら、翔に肩を押された。
翔から離れると
真っ赤な顔をした翔が、大きく深呼吸をした。
「く、るし…」
「は?なに?お前、息止めてたの?」
「だって、ずっと口塞がれてるんだもん…」
「いやいや、タイミングみて呼吸出来んだろ…
今までどうしてたんだよ」
そう聞くと翔は視線を伏せた。
「…今までしたことないし」
「え?潤さんとは?」
「潤はキスしなかったから…」
どういうことだ?
「キスなしでエッチしてたってこと?」
「うん…」
「じゃあ、もしかして、さっき外でしたのが、翔のファーストキス?」
「うん…」
マジか…
「なんか、ごめん…」
「え?なんで?」
「いや、ムードもなんも無しでいきなりしちゃったから…」
「でも、そのお陰で智の気持ち聞けたんだよ?
俺にしてみれば最高のキスだったけど?」
「ほんとに?」
「ほんとに」
綺麗に微笑む翔を見て、本能のままに突き進んだ俺を内心で褒めてやった。