第2章 幻想曲
「相葉さん、翔みたいのがタイプなんですか?」
チラチラと翔を見る相葉さんに気付いたニノ。
微笑みながらそう言うと相葉さんは慌てたように首を振った。
「えっ?イヤっ、そんなタイプだなんて」
「ふふっ…そんな慌てなくても、冗談ですよ?
『男の子がタイプか?』なんて冗談に決まってるじゃないですか…
相葉さんって真面目なんですね」
「あ…うん、おかしい、よね…男性が好きなんて…」
あ~、相葉さん軽く落ち込んじゃったじゃん。
ニノがお気に入りなことといい、たぶん相葉さんは同性愛者。
さっき潤さんも『こっち側』って言ってたから間違いないか…
「別に男性同士の恋愛は否定しませんけどね」
ニノがそう言うと、俯いてた相葉さんが顔をあげ、表情がいくらか明るくなった。
あれ?珍しい。ニノがフォローした?
他にもニノ狙いの客はいる。
そういう人たちには牽制するように『自分は同性愛には理解なし』みたいな対応をしてるのに。
ちょっとでも勘違いされると後々面倒だから
ニノはそういう気配を持つお客に対しては慎重に対応して、ほんの僅かでも期待を持たせないようにしてる。
でも、今の相葉さんのわかり易す過ぎる落ち込みにさすがに、ニノも気の毒に思ったか。
「お酒、飲まないんですか?握ったままだと氷溶けちゃいますよ?」
ロックグラスを両手で握ったままだった相葉さんに、優しい笑顔と口調でそう言うと
「あっ、飲みますっ」
慌てて口をつけゴクゴクと、一気に飲み干す勢いだけど
そのカクテル、アルコール度数高いんだよな…大丈夫か?相葉さん…