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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第1章 プレリュード


「相葉さんどうぞ…」

ニノがカウンターの左から3番目の席へ相葉さんを案内する。

相葉さんのいつもの席…その2つ隣の一番奥の席が潤さんのいつもの場所。

「翔もおいで…」

カウンターの中に入るニノが翔を呼んだ。

翔の存在に気がついた相葉さんが翔の顔をじっと見た。

「あれ?新人さん?」

「そう、今日から働いて貰ってるの。
翔、こちら相葉さん。よくいらしてくださるんだよ」

翔は頭を軽く下げ挨拶をする。

「櫻井です、よろしくお願いします」

「櫻井くんね?よろしく。
まだ若そうだけどいくつ?」

「今年二十歳になりました」

笑顔は見せないけど、しっかりと受け答えは出来るんだ。

仕事したことないって言ってたけど、潤さん以外の目上の人には敬語で話せるし、育ちはしっかりしてそう。

気品を感じさせるくらいだから、もしかすると相当なお坊っちゃま?

「相葉さん今日は何にします?」

「カミカゼ、貰おうかな」

「畏まりました…」

ニノがオーダーを受け、カクテルを作り出した。

「なあ、智…」

潤さんがチョイチョイと指で俺を呼ぶ。

「なんですか?」

潤さんに近くと、潤さんは小さな声で俺に質問した。

「あのお客様、よく来るの?」

「ええ、週に2、3度はいらっしゃいますよ」

「で、いつもカズがカクテル作ってんだ」

「そうですね…相葉さんには俺ではなく、ニノが相手してます」

「ふ~ん…」

「それがなにか?」

「いや、別に」

別に、とは言うけど、ニノと潤さんは付き合ってるようなもの…

「気になりますか?」

「ん、そりぁ多少はな…
あの人、こっち側みたいだし」

多少か…まぁ無関心よりはいいよな。
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